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派遣添乗員という仕事
 社団法人日本添乗サービス協会(TCSA)が行った派遣会社の調査報告によれば、各派遣会社が今かかえているもっとも大きな問題は、派遣スタッフつまりTCの新規採用がままならないという点です。
人が集まらないのは職場に魅力がないということでしょうが、旅先を職場とする添乗業務に魅力がないというのは不可解です。仕事をしながら旅行ができることなど、通常の世界ではとてもありえません。実際昔は「タダで旅行ができるから、添乗しない?」と聞かれて「私やります」というような会話も成立していたと聞きます。
しかし、現在はJALPAKやJTBでさえも添乗スタッフが集められません。
なぜ人が集まらないのかといえば「添乗の仕事は大変で割にあわない」という若者が多くいます。
この「割り」にあうかあわないかという、個人的な尺度により添乗業務は人気を失ってきました。
この背景にある個々の価値感に目を向けない限り、TC不足問題はこれまで同様これから先も根本的な解決を見ることはないでしょう。
今CSR(企業の社会的責任)が注目されていますが、ソフィアバンクの田坂社長は、日本企業には「本業を通じて社会貢献するという経営の精神」が必要であると述べています。(以下田坂氏)では、どんな会社が社会貢献をしているかといえば、自分の仕事の先を見つめている社員がいる会社です。追われるような日々の仕事の彼方に、その仕事を通じて実現する良き世の中の姿を思い描き、仕事との格闘を通じて腕を磨き、人間を磨き、職場の仲間とともに働き甲斐を求めて歩む社員。そんな社員がたくさんいる会社が社会貢献を果たしているというのです。
ではなぜ人が働くか=仕事の報酬感とは何かを考えると、ひとつは給与とか年収、あるいは役職とか地位という目に見えるものがあり、また一方では、働き甲斐のある仕事、職業人としての能力、人間としての成長など目に見えにくい報酬があります。
日本には古くから「仕事の報酬は仕事だ」という言葉があるくらいに、仕事は神聖なことととらえてきました。働くとは傍(ハタ)を楽(ラク)にすることで、まずは職場の仲間や先輩上司を楽にし、次に会社のお客様に喜んでいただく。さらに、世の多くの人の幸せに貢献してこそプロとしての成長があります。こうした職業人としての能力を高めることは自分自身の活躍の場を広げ、さらに働き甲斐を大きくします。やがて一度限りの人生で、自分の中に眠る可能性を開発させていくことに人間の本源的な喜びが生まれるといいます。
TCSAの調査結果を待つまでもなく、旅を支える人の減少傾向は10年前から顕著になっており、高齢化社会の進展とともにすでに始まっている少子化問題が表面化したにすぎません。
911テロ後はさらにそのギャップが広がり、海外旅行需要が回復する中、旅行が一般化した国内旅行ではさらに深刻なTC不足が続いています。団塊世代が大量に定年退職を向かえる来年を機にシニア旅行市場の大幅な拡大が見込まれていますが、人手不足が企業の成長を妨げる問題も顕在化しています。
労働市場からみれば、売り手(働き手)と買い手(雇用主)の力関係が逆転し始めることを意味して、ともすれば働き手が「してやっている」仕事になり、仕事の質をおとしかねません。
「仕事・能力・成長」は、自ら求めて得るべき報酬であり、「年収・地位」は、満足したお客様などから結果として与えられる報酬です。
ただ、それは自分の商品価値を高めるために腕を磨くのではなく、がむしゃらに仕事に取り組んできた結果、世の中が商品価値として呼ぶものが身についていたというのが真理といいます。
以前、修学旅行の添乗で行った薬師寺の和尚が「現代人は最小の努力で最大の成果をあげようと必死に努力してきたが、最大の努力をもって最小の成果を得るという心が大切だ」と言っていた事を思い出します。


(Always k/s)
 
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